"初期伊万里ビッグバン"日本磁器始まりの全貌に迫る展覧会を開催

今から約400年前、それまでの日本に存在しなかった技術によって突如として白く硬質なやきものである磁器が開発され、産業として急速に発展しました。その誕生から間もない17世紀前半に作られた磁器を初期伊万里と呼びます。近年の研究で、その最初期には朝鮮の技術者がリーダーとなって多久や伊万里で磁器の開発が試みられ、ついに有田の地で爆発的に生産が発達したことが明らかになってきています。
佐賀県立九州陶磁文化館では開館45周年 特別企画展「初期伊万里(しょきいまり)ビッグバン-日本磁器(にほんじき)始まりの全貌-」を開催します。肥前の磁器生産の草創期に焦点をあて、現代を生きる私たちをも魅了する初期伊万里の優品と、草創期の技術開発の様子をうかがい知ることができる資料を通じて、これまでの研究成果をもとにその起源と発展の真相に迫ります。
【展覧会概要】
・会場
佐賀県立九州陶磁文化館(西松浦郡有田町戸杓乙3100-1)
第3~5展示室
・会期
令和7年10月4日(土曜日)~12月7日(日曜日) 56日間
・休館日
月曜日
※ただし、11月24日(月・振休)は開館し、翌日休館
・開館時間
9時~17時(入館は16時30分まで)
・観覧料
一般 800円(700円) 高校生以下無料
※()内は20名以上の団体料金
※障害者手帳又は指定難病受給者証をお持ちの方とその介助者(1名)は無料
・出品作品
200件
・図録
展示作品及び論考等を掲載した図録を販売(A4判、230ページ)
・展示構成
プロローグ 日本磁器出現前夜
第1章 初期伊万里ビッグバン-日本磁器誕生-
第1節 窯跡(かまあと)出土(しゅつど)遺物(いぶつ)にみる草創期の磁器生産
第2節 古文書(こもんじょ)が語る草創期のストーリー
第2章 磁器生産の本格化
第1節 有田における本格的磁器生産
第2節 磁器生産の広がり
第3節 文様(もんよう)の展開-中国磁器の影響-
第3章 磁器生産体制の確立
第4章 きらめく星々-多彩な創造-
第1節 器を彩る技法
第2節 茶・花・香
第3節 磁器大皿の創出
エピローグ 宇宙は膨張する-日本磁器の革新-
【関連イベント】
やきものセミナー11月15日(土) 講師:巖 由季子(いわお ゆきこ)(当館学芸員)
「初期伊万里ビッグバンのみどころ-多彩な装飾と文様の魅力-」
【主な展示作品】

高麗谷窯跡出土(こうらいだにかまあとしゅつど) 白磁碗底部(はくじわんていぶ)
1600~1610年代 肥前 高麗谷窯跡
多久市教育委員会所蔵
佐賀県多久市の高麗谷窯跡で出土した白磁碗の底部。高く丁寧な造りの高台(こうだい)は朝鮮でも広州官窯(こうしゅかんよう)産の白磁製品と近い。

染付騎牛笛童子文皿(そめつけきぎゅうふえどうじもんさら)
1610~1630年代 肥前 有田
公益財団法人今右衛門古陶磁美術館所蔵
点描(てんびょう)と吹墨(ふきずみ)を併用し、牛の背に乗り笛を吹く童子を風景から切り取ったように描いている。中国のデザイン帖『八種画譜(はっしゅがふ)』に基づく図像。

青磁貼付梅枝文大合子(せいじはりつけうめえだもんだいごうす)
1630~1640年代 肥前
個人蔵

染付辰砂鳥形香合(そめつけしんしゃとりがたこうごう)
1630~1640年代 肥前 有田
個人蔵

染付竹虎文大鉢(そめつけたけとらもんおおばち)
1630年代~1640年代 肥前 有田
東京国立博物館所蔵 Image: TNM Image Archives
長い尾をうねらせ、岩の上の雉を見上げ歩み寄るかのような虎を描いた大皿。三足が付く珍しい作例で、手づくねで成形した足に鋲(びょう)状の装飾を伴う。口径45cmを超える堂々たる姿に良く発色した呉須(ごす)の藍(あい)が美しい。

染付山水文輪花大皿(そめつけさんすいもんりんかおおざら) 《重要文化財》
1640~1650年代 肥前 有田
佐賀県立九州陶磁文化館所蔵 今泉吉郎氏寄贈
側面を彫りによって鎬(しのぎ)状に成形し、全体を細かな単位の輪(りん)花(か)皿に仕上げている。そこへ丁寧な線描きにより、雄大な山水の情景を戦災に描き込む。技術革新を経て初期伊万里を脱した象徴的な作品。
【お問合せ先】
佐賀県立九州陶磁文化館TEL:0955-43-3681
E-mail: kyuto@pref.saga.lg.jp
https://saga-museum.jp/ceramic/
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