忌野清志郎の歌を次世代へ!Nagie Laneそして片平里菜、暴動クラブによる『PEACE SONGS』フジロックで響いた平和へのメッセージ

7月24日、25日、26日の3日間にわたり、新潟県湯沢町 苗場スキー場にて「FUJI ROCK FESTIVAL'26」が開催された。その3日目・7月26日、GYPSY AVALONに「忌野清志郎 PEACE SONGS」が登場。メンバーはNagie Lane
バンマスを務めるbarattiが途中のMCで語った「この企画をやることになって、色々な方からこれまで以上に清志郎さんの話を聞くようになった。彼も自分たちと同じ人間で、日々悩んだり考えたりして、彼なりの言葉で歌詞にしていたんじゃないか、と思った。彼の大切な言葉をのせた歌を、歌い繋いでいきたい」「このことだけをやっていたら、世界は平和になるということを、めちゃくちゃシンプルな言葉で歌った曲を、僕たちもめちゃくちゃシンプルな形で届けたい」というのがこのユニットのコンセプトだ。
開演時間になるとフジロックの公式テーマソングでもある忌野清志郎の楽曲「田舎へ行こう ~Going Up The Country」をバックに、暴動クラブ、片平里菜、Nagie Laneの面々が登場。1曲目は「アイ・シャル・ビー・リリースト」(RCサクセション『コブラの悩み』収録。1988年)。オリジナル「I Shall Be Released」はボブ・ディラン(1967年)。barattiがウクレレベースを、mayuがタンバリンを、mikakoがアコギを演奏。Nagie Laneのコーラスもあわさり、ステージ全員の演奏と歌声が空に溶ける。彼らの演奏に支えられながら、自身もアコギを抱えた福島出身の片平里菜が凛とした歌声で「日はまた昇るだろう 東北の街にも」と歌う。今年は東日本大震災と原発事故から15年目。ゆったりしたテンポのなかにも、歌詞には強い思いが込められていた。
2曲目「LONG TIME AGO」(ザ・タイマーズ『THE TIMERS』収録。1989年)はストレートに原子爆弾がテーマになった、反核ロックンロール。この曲のリードボーカルをとるのは、広島出身の釘屋玄だ。mayuのハープにも思わず熱がこもる。
そのままアコギのフレーズが爪弾かれ、「デイ・ドリーム・ビリーバー」(ザ・タイマーズの1stシングル。1989年)へ。オリジナルはモンキーズ(1967年)だが、日本人にとってはタイマーズによる日本語カバーのほうが馴染みが深い。Nagie Laneの面々がオーディエンスにコーラスを促すと、その声はひときわ大きな輪を描き、mayu、mikako、barattiによるハーモニーとともに会場全体に広がっていった。
続く「激しい雨」(忌野清志郎『夢助』収録。2006年)では、1番を片平里菜が、2番をmayuが歌った。この曲が内包するヒリヒリとした痛みは、現実社会を生きる私たちの感情とリンクしていた。
Nagie Lane、片平里菜、暴動クラブの面々が楽器を置いて横一列に。冒頭にあげたMCに続けて、全員で指でリズムをとりながらアカペラでソウルバラッド「世界中の人に自慢したいよ」(忌野清志郎のシングル。1996年)を歌った。もちろん全体をリードしたのはNagie Lane。これまでロックバンドによる忌野清志郎ソングのカバーを数えきれないほど聴いてきたが、アカペラでのカバーを聴いたのは初めてだ。Nagie Laneの真骨頂だ。

次の「JUMP」(忌野清志郎のシングル。2004年)で、メンバーはふたたび楽器を手にし、歌とアコギ、コーラスによるロックンロールが炸裂。悲しいニュースや悲しい嘘にあふれるこの世界で、シンプルな言葉で綴られる歌がこんなにも光や勇気を照らしてくれることをあらためて実感した。
ここでゲストボーカルのROY(THE BAWDIES)と藤原さくらがステージに登場。会場から大きな歓声があがる。「清志郎のメッセージがこの場所にはたくさん詰まっている。愛し合っていれば何もいらない。武器なんていらない」と片平里菜。「最後に大事な曲をみんなで歌います」と「イマジン」(RCサクセション『COVERS』収録。1988年)を披露。オリジナルはジョン・レノン(1971年)。「朝霧JAM 2025」でダイヤモンド☆ユカイと片平里菜が「イマジン」を熱唱し話題を呼んだことが、今回の選曲にもつながったという。Nagie Lane、片平里菜、暴動クラブ、そしてゲスト全員で、あるパートは忌野清志郎の意訳バージョンを、あるパートはジョン・レノンのオリジナルを歌唱。ジョン・レノン~忌野清志郎、そして今回のユニットと歌い繋がれる「イマジン」。この時間がとてもかけがえのないものに感じられた。終演後のBGMにはRCサクセションの「あふれる熱い涙」が選曲されていた。
今回の楽曲アレンジは全編、barattiが手がけたそうだ。忌野清志郎のナンバーと多彩なハーモニーとの相性の妙や、ロックバンドのカバーにはない新鮮な響き。コーラスグループ、シンガーソングライター、ロックンロールバンドという普段の活動の形態は違えど、忌野清志郎の歌のもとに集結したこのユニットによる忌野清志郎ソングの新たな息吹を堪能した。今年のフジロックはマッシヴ・アタックをはじめ強いメッセージを打ち出すステージが多かったが、「忌野清志郎PEACE SONGS」も、ステージは小さいが、グリーンステージに負けないくらい大きなメッセージと音楽のパワーを秘めていた。
Writer:秋元美乃
Photographer:小野田麻里 (アトミックカフェ)
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