生き物は音を、どう"聴いている"のか。聴覚生理学の精緻な仕組みに迫る書籍『音の聴こえるメカニズム 』3/16発売

書影『音の聴こえるメカニズム』
株式会社医学書院 (所在地:東京都文京区 代表取締役社長:金原 俊)は、書籍『音の聴こえるメカニズム』(著 大森治紀)を2026年3月16日に刊行しました。生き物は音を、どう"聴いている"のか。聴覚生理学の精緻な仕組みに迫る一冊です。
われわれの周囲には音があふれている。
人の話し声、テレビから流れる音楽、鳥のさえずり……。目を閉じていてもその音がどこから聴こえてくるかがわかるのは、"聴覚"の繊細で緻密なメカニズムがあるからだ。空気の振動を、有毛細胞が電気信号に変換するところから音の旅がはじまる。本書では、順を追って複雑な聴覚神経回路を読み解いていきます。
目次
第1章 聴覚器官の構造と働き1.1 外耳・中耳・内耳の役割
1.2 伝音性難聴と感音性難聴
1.3 蝸牛器官の構造と働き
第2章 哺乳類の聴神経回路と音源定位の神経機構
A) 音の属性と神経細胞応答
2.1 音の時間的特性と位相固定した神経細胞応答のベクトル解析
2.2 AM波の包絡線と位相応答性
2.3 音源定位の二元論と動物の可聴周波数帯域
2.4 高い周波数音に応答する神経細胞がもつ位相応答性の仮説
2.5 脳幹神経核における聴神経活動の電気記録の問題
B) 音源定位にかかわる哺乳類の神経回路機構
2.6 哺乳類の蝸牛神経核の細胞構築
2.7 蝸牛神経核における音の強度情報と時間情報の抽出
2.8 両耳間音圧差(ILD)情報の処理
2.9 哺乳類MSOの両耳間時間差(ITD)処理に関するJeffressの遅延線モデル
2.10 哺乳類はどのようにして音源位置を判断するのだろうか
2.11 MSOへの抑制性シナプス入力
2.12 ITD処理における抑制性シナプスのかかわり
2.13 抑制性シナプスのかかわりを想定するITD処理モデルへの批判
column 2チャネルモデル
第3章 聴覚情報を処理するトリの神経回路
A) 音源定位に働くトリの神経回路
3.1 独立した神経核で抽出される時間情報と音圧情報
3.2 遅延線回路を用いたITDの検出
3.3 ITDを水平軸としILDを垂直軸とするメンフクロウの音源地図
3.4 聴覚情報の脳内投射経路と視蓋における聴覚と視覚情報の統合
3.5 ITD同調の位相不確実性と下丘外側核での不確実性の解消
3.6 脳領域の障害とメンフクロウの音源定位機能
B) 音圧情報を処理する神経回路のメカニズム
3.7 マイクロホン電位から明らかになったヒヨコのITDへのIACの影響
3.8 IACを伝播する対側音の刺激に影響されるNAの神経活動
3.9 両耳刺激音のIAC内での干渉によるNA神経細胞活動の位相特性の変化
3.10 両耳刺激音間の位相差(IPD)に影響されるNAの神経活動
3.11 外側毛帯核後部(LLDp)神経細胞のILD応答
3.12 LLDp神経活動への両耳刺激音間の位相差の影響
C) 時間情報を処理する神経回路のメカニズム
3.13 大細胞核における時間情報の抽出
3.14 NM神経核の中間周波数から高周波数領域では聴神経シナプス電流は大きい
3.15 NM神経細胞の膜興奮性に関与する低閾値活性型K+チャネル(KLVA)
3.16 低周波数領域NM細胞は小さなシナプス電流入力を受け活動電位の時間的な揺らぎは小さい
3.17 活動電位の時間的な揺らぎを改善する個体のANF・NM間シナプス
3.18 層状核(NL)の細胞構築
3.19 NL神経核のITD検出は中間周波数帯でシャープである
3.20 低閾値活性型K+チャネル(KLVA)活性により加速されるEPSP
3.21 NLのITD検出極限精度の推定
3.22 低閾値活性型K+チャネル(KLVA)の聴覚神経核での発現密度分布
3.23 ヒヨコ切片標本のITD検出感度の評価
3.24 HCNチャネルとノルアドレナリンによるITD同調特性の先鋭化
3.25 NL神経細胞の構造と軸索初節(AIS)の働き
3.26 AISの可塑的変化
3.27 GABA性シナプスによるNL細胞応答の時間解像度の亢進
3.28 周波数帯に対応したGABA-B受容体および代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)の発現
第4章 音源定位の精度を上げる抑制性シナプス作用
4.1 音の刺激強度に影響されるITD同調曲線
4.2 ITD同調の音圧耐性と抑制性入力の役割
4.3 抑制性シナプス入力によるITD同調精度の向上
4.4 NLへの抑制性SON投射
4.5 抑制性シナプスが音源定位の精度を上げる
4.6 NM神経活動に同期したNLへの抑制入力
第5章 有毛細胞の受容機構と受容器感度増強のメカニズム
A) 有毛細胞の働き
5.1 有毛細胞の構造と機能
5.2 感覚毛の機械刺激は有毛細胞に受容器電位を発生する
5.3 蝸牛マイクロホン電位の記録から有毛細胞の働きが明らかになった
5.4 蝸牛器官は迷路様の構造をとり内部はリンパ液で満たされている
5.5 血管条からK+が分泌され内リンパ液のK+濃度を上げる
5.6 内リンパ腔の大きな正の電位は受容器電流を増強することで受容器感度を上げる
column 有毛細胞の単離とパッチクランプ実験の物語
5.7 ステップ様に流れる単1MET電流
5.8 METチャネルの単位伝導度
5.9 METチャネルのイオン選択性
column Goldman-Hodgkin-Katzの方程式
5.10 MET電流はストレプトマイシンで阻害される
column ストレプトマイシンによるMETチャネル阻害
column アミロライドによるMETチャネル阻害
5.11 機械刺激量とMET電流の入出力関係
column tip-link仮説
5.12 METチャネルに関連するタンパク質分子
column 正常METと異常MET
column Ca2+蛍光によるMETチャネル局在部位の推定
B) 有毛細胞の受容器感度を上げる機械的なメカニズム
5.13 基底膜振動の周波数特異的な増幅とvon Bekesyの進行波
column 感覚毛の閾値刺激量
5.14 蝸牛器官基底膜は弱い刺激音圧で鋭敏に振動する
5.15 膜電位による外有毛細胞長の変化は受容器感度を増大する
5.16 プレスチンが膜電位依存的な外有毛細胞の長さの変化を起こす
5.17 感覚毛の動きによるMET感受性の増大
5.18 順応とゲート特性
column Ca2+と順応
C) 有毛細胞の膜興奮性
5.19 有毛細胞は高い膜抵抗をもつがNa+電流は流れずCa2+電流は小さい
第6章 有毛細胞の神経支配と求心性神経伝達物質
6.1 求心性神経
6.2 遠心性神経
6.3 遠心性神経のシナプス伝達物質作用
6.4 求心性神経のシナプス伝達物質の同定
第7章 聴覚神経回路の可塑的変化
7.1 メンフクロウの聴覚空間地図は可塑的であり視覚情報の指示で変わる
7.2 鳴鳥の歌の学習
7.3 成熟したラットの聴覚皮質の可塑性
7.4 皮質遠心性投射系による聴覚応答の可塑性
第8章 聴覚研究の新しいアプローチ
8.1 電気的神経活動と細胞内Ca2+シグナルの測光電極(PME)による計測
8.2 PMEを用いて記録したヒヨコfield Lの聴覚応答
8.3 電場電流のバースト発射とCa2+応答
8.4 Ca2+信号の神経核による違い
8.5 PMEによる光計測と電極のシルガード被覆
8.6 遺伝子改変動物へのPME応用
8.7 新しい実験技術の開発と神経情報変換過程への応用
補足の章 付録
S1) 神経細胞の基本的な膜興奮性
S1.1 細胞膜の等価回路
S1.2 細胞膜の電位変化
S1.3 長さ定数,電気緊張電位と興奮伝導速度
S2) ITD同調
S2.1 ITD同調曲線
S2.2 生理的ITD
S3) 蝸牛マイクロホン電位
S4) LLDp神経細胞のILD依存性
書誌情報

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株式会社医学書院について
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■会社概要
会社名 株式会社 医学書院
創立 1944年
代表者 代表取締役社長 金原 俊
所在地 東京都文京区本郷1-28-23
事業内容 医学・看護および関連領域の専門書籍・雑誌・電子媒体の出版
URL https://www.igaku-shoin.co.jp/
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