おでかけや暮らしの情報なら、サンゼロミニッツ

「ガーナと日本をつなぐ」──大工アーティストの伝統木工と現代アートが融合。福井・金津創作の森美術館で"平和の塔"を制作。

日本の大工技術による新構法「円盤鯱じめ」で、《Moon Tower》《E-waste Tree》の新作構造を組み上げる。






株式会社菱田工務店(長野県坂城町)代表で大工アーティストの菱田昌平は、現代アーティスト長坂真護氏の制作展に参加し、コラボレーション作品を制作しました。
作品は福井県あわら市・金津創作の森美術館で12月14日(日)まで展示されています。
本展示では、長坂氏の代表作《Moon Tower》の構造部分に、菱田が独自に開発した新構法「円盤鯱(えんばんしゃち)じめ」を、《E-waste Tree》の構造部分に、日本の伝統工法である木組みを採用。
また、菱田の出身地・長野県坂城町の木材を使用することで、日本の伝統木工技術と現代アートの融合を実現しました。
"世界中の職人がガーナを支える"という理念のもと、地域と地球を結ぶ新たなアートの形がここに誕生しています。

背景|世界をつなぐ"手仕事"を未来へ



両者の出会いは、2024年春に名古屋で開催された長坂氏の個展。菱田が同展で長坂氏の代表作《真実の湖》を購入したことをきっかけに、「職人の手で社会を変える」という想いで共鳴しました。
その後、長坂氏が進めるガーナ・アグボグブロシーのまちづくりプロジェクトに菱田が同行し、現地で焼杉づくりや木工技法の指導を実施。この活動が、今回の金津創作の森でのコラボレーションへと発展しました。
菱田はこれまで、ヨーロッパや日本の各地で職人と交流を重ねながら、"手仕事が失われつつある現状"を目の当たりにしてきました。
本プロジェクトでは「手仕事と職人の価値を再定義する」ことを目的に、構造そのものを思想の中心に据えています。
作品紹介
《MOON TOWER(月の塔)》



長坂氏が平和の象徴として描き続けてきた「月」をモチーフにしたモニュメント。
2019年にガーナ・アグボグブロシーの人々とともに、廃ペットボトルを使って初めて制作されました。その後、3Dプリンター技術や植物由来素材、ソーラーパネル発電などを融合させた新バージョンが 2022年に小豆島で発表されています。
本展での《Moon Tower》は、過去作の思想を継承しつつ、地元中学生や地域ボランティアとともに新規制作されたもの。塔の構造部分を菱田が担当し、木組み構造が時間とともに変化していく姿を設計に込めました。木材は森の環境と呼応し、時間の経過とともに"呼吸する塔"として表情を変えていきます。
《E-waste Tree(電子廃棄物の樹)》



2019年、ガーナの「MAGO E-waste Museum」前に設置された高さ7メートルの立体作品を原点としたモニュメント。
先進国から廃棄された電子機器が集まるスラム街・アグボグブロシーで、「汚染された大地の残留エネルギーを吸い上げて成長する樹木」をテーマに現地の人々と制作されました。
本展の《E-waste Tree》では、構造部分を菱田が担当。ガーナの電子廃棄物と日本の杉の一本木を融合し、木組みの軸構造によって生命のような有機的フォルムを支えています。
金属や電子部品が枝のように広がる造形は、自然と人工、技術と思想を結ぶ"呼吸する彫刻"としてこの地に根を下ろします。

制作内容|伝統技術「円盤鯱じめ」と地元材の融合





構造部分は、菱田と大工仲間2名によって現地の森の中で組み上げられました。
制作は朝から夕方まで、斧と鉞を使って木を刻み、削り、はめ込む作業の連続。
接着剤や金物を一切使わず、木の繊維の方向や湿度、力の流れを読み取りながら木と木を噛み合わせていきます。





今回新たに開発された構法「円盤鯱(えんばんしゃち)じめ」は、円形の木盤と楔(くさび)によって強度としなやかさを両立させたもの。
作業中には、現地スタッフや美術館関係者も見守りながら、削る音、木の香り、手斧のリズムが森に響き渡りました。





こうして完成した構造体は、長坂氏の《Moon Tower》《E-waste Tree》の造形を支える"生命の骨格"として存在。物理的な支持体であると同時に、職人の哲学を刻む彫刻的構造でもあります。
展覧会開催概要



展覧会:「長坂真護展 Still A BLACK STAR supported byセーレン」
会 期:2025年10月18日(土) ~ 12月14日(日)
10:00~17:00 (最終入場16:30)
月曜休館(祝日開館、翌平日休館)
会 場:金津創作の森美術館 アートコア、野外美術館ほか
料 金:一般 300円(200円)、65歳以上・障がい者150円
高校生以下、障がい者の介護者(当該障がい者1人につき1人)無料
※( )は20名以上の団体料金
★観覧料の一部は、ガーナでの支援活動に活用されます。
菱田昌平(ひしだ しょうへい)
18歳で大工の道に入り、以後29年間にわたり大工・設計者・経営者として住宅づくりに携わってきました。日本での修業を経て、ヨーロッパの職人たちとも共に仕事をし、伝統と革新の双方を学び、視野を広げてきました。
2000年代後半に独立後、設計・施工を一貫して担い始め、30代で菱田工務店を創業。現在は長野県坂城町を拠点に、地域に根ざした活動と同時に海外からの注目も集めています。
「古る、美る。」という思想を掲げ、素材・手仕事・美しさを探求する唯一無二の大工アーティスト。カルチャープレーナー2024に選出されるなど、国内外から高い評価を得ています。忖度のない物言いと謙虚さで人を惹きつけ、世界に通じる美学と哲学を発信し続けています。

SNS:https://www.instagram.com/shohei_hishida/



長坂真護(ながさか まご)
現代アーティスト。1984年福井県生まれ。2017年、ガーナのスラム街・アグボグブロシーを訪れ、電子廃棄物を燃やして生活する人々と出会う。以降、廃棄物を素材とした作品を制作し、その収益をもとに現地でリサイクル工場の建設やEV事業、環境負荷の少ない農業を展開。「経済・文化・環境の3軸を循環させる"サステナブル・キャピタリズム"」を掲げ、スラム街をサステナブルタウンへ変える活動を続けています。
2022年には上野の森美術館で個展を開催、第51回ベストドレッサー賞(学術・文化部門)を受賞。2025年の大阪・関西万博では、再生ペット素材を用いた新作《ミドルクラゲ "海月(うみつき)"》を展示予定。

SNS:https://www.instagram.com/mago_creation/



菱田工務店について



大工アーティスト菱田昌平が創業して13年(2025年時点)。「手仕事」「素材感」「美しさ」を軸に、時間と共に価値が深まる住まいをつくり続けています。
「古る、美る。」という思想のもと、職人の手仕事と地球の素材を生かし、経年変化を"経年美化"へと変える建築を提案。国内外から注目を集め、Instagramの総フォロワー数は50万人超。地域活動としては社有林を取得し、地元の木を使った家づくりにも取り組んでいます。
会社概要
株式会社菱田工務店
代表者:代表取締役 菱田昌平
所在地:〒389-0602 長野県埴科郡坂城町中之条1683-17
設立:2012年(創業13年目/2025年時点)
事業内容:住宅の設計・施工、shohei hishidaブランド運営、地域資源活用による建築事業
Webサイト:https://hishidak.com/
SNS:https://www.instagram.com/hishidakoumuten/
菱田工務店 広報窓口
担当:玉置健二
TEL:0268-82-8876
MAIL:info@hishidak.com
取材・見学に関するご相談や資料請求など、お気軽にご連絡ください。
※画像素材ダウンロード:https://drive.google.com/drive/folders/**********

企業プレスリリース詳細へ
PRTIMESトップへ