女性アスリート300名を約1年間追跡調査。月経周期とケガ発生リスクの関連性を実証
月経周期のうち「排卵期」にケガ発生リスクが最も高まることが判明

スポーツテック企業の株式会社ユーフォリア(本社:東京都千代田区、代表取締役:橋口 寛/宮田 誠、以下 ユーフォリア)のR&Dセンターは、「月経周期とスポーツ外傷・障害の関連の検証」プロジェクト(以下、本研究)を実施し、月経周期のうち排卵期においてケガリスクがもっとも高まるという結果が得られたことをお知らせいたします。本研究の成果は、スポーツ医科学の米国学術誌『Medicine & Science in Sports & Exercise』にて公開されました。
近年、女性アスリートを取り巻くスポーツ環境において、月経は競技パフォーマンスに影響を与える要因として注目されています。しかし、長年にわたりスポーツ界では、月経が競技の妨げになるものとして軽視される傾向がありました。その結果、適切なケアや指導が行われないまま、多くの女性アスリートが「女性アスリートの三主徴」[注1]などの健康リスクに直面しています。
これらの問題に対処するための正しい情報発信について、公的機関や競技団体、スポーツ医療関係者の方々がこれまで啓発活動を続けてはいるものの、ジュニア・ユースの年代を指導するスポーツ現場まで十分に普及しているとは言えず、今後も根気強く継続していく必要があります。
このような課題を背景に、当社では「月経と女性アスリートの外傷・障害(ケガ)の関係性」に着目した本研究を開始することにいたしました。月経と外傷・障害(ケガ)の関係性を明らかにすることで、女性アスリートの皆さんがより当事者性を持って、競技生活に直結する外傷・障害(ケガ)をしないための適切なケアを知り、そしてケアを受けられる女性アスリートを増やすことを研究の趣旨といたしました。
これまで、月経に関する研究は、その個別性の高さや機微な情報を含むため、大規模かつ長期的な調査が進みにくい領域でした。そこで、ユーフォリアが開発・提供するONE TAP SPORTSの女性アスリートユーザーを対象に研究参加者を募り、本研究へ多大なるご協力をいただくことができ、今回の貴重な研究成果を得ることができました。
[注1] 女性アスリートの三主徴とは、「Low Energy Availability(利用可能エネルギー不足)」により「無月経」となり、無月経により女性ホルモン分泌が低下し骨密度を高められないため「骨粗鬆症」を引き起こすという互いに関連し合う三つの健康障害のこと
《本研究結果サマリー》
(1)正常な月経周期 [注2]を有する場合においては、月経周期のフェーズ [注3]のうち「排卵期」が最も外傷・障害(ケガ)のリスクが高かった

(2)外傷・障害(ケガ)の種類のうち特に、関節捻挫/靭帯断裂のリスクは排卵期において、卵胞期・黄体期より2.7倍高かった

(3) 研究の追跡期間中、約4分の3もの研究参加者が月経周期異常[注4]を経験したが、月経周期異常と正常月経周期の外傷・障害発生リスク比較では、希発月経・無月経 [注5]が正常月経周期より外傷・障害発生リスクが低かった。(統計学的に有意な差ではないものの、頻発月経では正常月経周期より外傷・障害発生リスクが高かった)

[注2] 正常な月経周期:本研究では24日以上38日以下の月経周期を指す
[注3] 月経周期のフェーズとは、本研究では月経周期を卵胞期(月経開始~LHサージ前日)、排卵期(LHサージ+2日間)、黄体期(排卵期以降~次の月経開始前日)に分類する。LHサージとは、LHホルモン(黄体化ホルモン)が急速に分泌されるタイミングのこと。本研究では、実際にホルモン測定をしたのではなく、計算式を用いてLHサージのタイミングを推定している
[注4] 月経周期異常:頻発月経、希発月経、無月経を指す
[注5] 希発月経・無月経:希発月経とは月経が39日以上ない状態であり、無月経とは月経が3カ月以上ない状態
《本研究概要》
- 研究参加者:大学生年代以上の球技系の女性アスリート 316名
(サッカー、バレーボール、ソフトボール、ハンドボール、フィールドホッケー、バスケットボール)
※本研究への参加および研究結果の共有は研究参加者ご本人の意思に基づき適切に実施いたしました。
- 研究参加者年齢:中央値 21歳 (四分位数範囲:23-19歳)
- 追跡期間:中央値 337日間(2022年10月~2024年1月のうち1年間、最小値56日間、365日追跡できた人数152名)
- 検証方法:
- - 正常な月経周期の場合の外傷・障害発生率と月経周期が異常な場合 (希発月経・無月経)の場合の外傷・障害発生率を算出し比較する
- - 正常な月経周期を抽出し、卵胞期、排卵期、黄体期ごとの外傷・障害発生率を算出し比較する
- 集計方法:研究参加チーム・選手の同意のもと、ONE TAP SPORTSに入力された月経情報、外傷・障害情報、練習参加情報を集計
- 研究責任者:山中 美和子(株式会社ユーフォリア R&Dセンター リサーチャー )
- 研究分担者:(※)はユーフォリアスポーツ科学研究所(EIS)所属研究者
- - 須永美歌子(※)(日本体育大学児童スポーツ教育学部/教授)
- - 馬見塚尚孝(※)(医療法人野球医学 ベースボール&スポーツクリニック理事長)
- - 橋場智子(株式会社ユーフォリア)
- - 高橋良輔(株式会社ユーフォリア)
- - 飯澤拓樹(株式会社ユーフォリア)
《本研究 まとめ》
・正常な月経周期であれば、排卵期 > 卵胞期 > 黄体期の順で外傷・障害(ケガ)のリスクが高い
・排卵期では、特に関節や靭帯の外傷・障害(ケガ)を受傷するリスクが高まる
・追跡期間中、研究に参加した女性アスリートのうち、約4分の3が月経周期異常を経験した
・希発月経や無月経を経験しているときに新たな外傷・障害が発生するリスクは正常な月経周期より低かったが、希発月経や無月経の主な原因である利用可能エネルギー不足はさまざまな健康障害と関連があるため注意する必要がある
■今後の展開
本研究により、正常な月経周期であれば排卵期に外傷・障害(ケガ)を受傷するリスクが高まることが判明しました。この研究結果を女性アスリートの皆さまが生かし競技生活を安全に継続していただくためには、受傷するリスクが高い排卵期へ意識を高めていただく必要があります。そのためには、月経周期の記録を付けるだけでなく基礎体温測定も重要となります。また、排卵期に特に関節や靱帯の外傷・障害(ケガ)のリスクが高まるため、対策として関節を安定化させるテーピングやウォーミングアップの重要性へ理解を深めていただく必要があります。ユーフォリアは、この研究結果および予防・対策方法を広くアスリートおよび指導者の皆さまへ届け、行動変容をITでサポートするため、ONE TAP SPORTSの月経管理機能のアップデート、ならびに情報発信などの啓発活動に努めてまいります。
また、本研究結果から派生した次なる研究課題「なぜ排卵期にケガのリスクが高まるのか」についても調査を実施いたしました。こちらも検証結果がまとまり次第、ご報告をいたします。
■研究責任者・研究分担者コメント
山中美和子(株式会社ユーフォリア R&Dセンター リサーチャー) :
本研究は、最長1年間という長期間にわたり女性アスリートの皆さまやチームのメディカルスタッフの皆さまにご協力をいただき、完遂することができました。本研究のような大規模な研究を実施できたのは、ひとえに研究に協力してくださった皆さまの「女性アスリートの未来」を想う志のおかげでした。研究から得られた知見をより多くの女性アスリートの皆さまに活かしていただけるよう、普及活動にも努めてまいります。
須永美歌子先生(日本体育大学 児童スポーツ教育学部/教授、ユーフォリアスポーツ科学研究所(EIS)所属研究者:
本研究は、女性アスリートの外傷・障害リスクに対する月経周期の影響を前向きコホート研究として検討した点で、非常に意義深いものです。長期間にわたる追跡調査を行い、多数のアスリートを対象にデータを収集しているため、得られた知見はスポーツ現場への応用が可能です。例えば、コーチやトレーナーが月経周期に応じたトレーニングや傷害予防プログラムを開発することなどに役立つと考えられます。本研究の結果をふまえ、今後さらに月経周期を考慮したコンディショニングに関する研究が推進されることを期待しています。
馬見塚尚孝先生(医療法人野球医学 ベースボール&スポーツクリニック理事長、ユーフォリアスポーツ科学研究所(EIS)所属研究者:
本研究の最も注目したい結果は、「女性アスリートの関節捻挫は排卵期に増える」点です。医師としては、女性の性ホルモンが時期によって大きく変化することは常識ですが、関節捻挫のようなケガが性ホルモンの影響を受けて排卵期に増えるという事実に大変驚きました。この研究成果をもとに、コーチングや医学が大きく進歩する可能性を感じました。
■掲載論文
タイトル:Incidence of Sports Injuries Across Menstrual Phases in Eumenorrheic and Abnormal Cycles in Japanese Female Athletes: A Prospective Cohort Study(「月経周期とスポーツ外傷・障害の関連の検証」)
著者:山中美和子1,2、橋場智子2、高橋良輔2、須永美歌子3、飯澤拓樹1,2、馬見塚尚孝4
所属:1 ユーフォリアスポーツ科学研究所
2 株式会社ユーフォリア R&Dセンター
3 日本体育大学 児童スポーツ教育学部児童スポーツ教育学科/教授
4 医療法人野球医学 ベースボール&スポーツクリニック理事長
掲載誌:Medicine & Science in Sports & Exercise
公開日:2025年2月17日
DOI:https://doi.org/10.1249/MSS.0000000000003679
■ユーフォリアスポーツ科学研究所(EIS:Euphoria Institute of Sports Science)について
アスリートやトップスポーツを対象とした研究により得られた成果を広く一般の人々の健康や能力開発に生かすべきという考えのもと、2021年9月ユーフォリアスポーツ科学研究所は設立されました。外部からご参画いただいているリエゾン研究員の皆さまとともに、ユーフォリアが事業を通じて獲得し蓄積してきたアセットも活用し、社会課題を解決するための社会システムへの実装を目指し研究活動を推進しています。
URL:https://eu-phoria.jp/eis
■株式会社ユーフォリア について
ユーフォリアは「人とスポーツの出合いを幸福にする」をミッションに、スポーツの課題をテクノロジーで解決するスポーツテック企業です。スポーツ選手のコンディション管理、ケガ予防のためのSaaS型データマネジメントシステム「ONE TAP SPORTS(ワンタップスポーツ)」( https://one-tap.jp )、スクール運営のDXプラットフォーム「Sgrum(スグラム)」アプリ( https://sgrum.com )、部活動やサークル活動に取り組む学生向け無料の練習記録アプリ「SportsMate(スポーツメイト)」( https://sportsmate.jp )を開発・提供しています。さらに、これまでスポーツ界で培ってきたノウハウを生かし、一般企業のビジネス課題の解決を行う法人向け事業も推進中です。
本社 :東京都千代田区麹町4-8-1 麹町クリスタルシティ東館10階
設立 :2008年8月18日
代表者 :代表取締役/共同創業者 橋口 寛・宮田 誠
事業内容:スポーツ領域におけるシステム開発・保守・コンサルティング、スポーツデータ活用による商品開発支援事業、健康経営支援事業
URL :https://eu-phoria.jp/
【本件に関する報道関係者お問合わせ先】
株式会社ユーフォリア 広報担当 E-mail:pr@eu-phoria.jp
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スポーツテック企業の株式会社ユーフォリア(本社:東京都千代田区、代表取締役:橋口 寛/宮田 誠、以下 ユーフォリア)のR&Dセンターは、「月経周期とスポーツ外傷・障害の関連の検証」プロジェクト(以下、本研究)を実施し、月経周期のうち排卵期においてケガリスクがもっとも高まるという結果が得られたことをお知らせいたします。本研究の成果は、スポーツ医科学の米国学術誌『Medicine & Science in Sports & Exercise』にて公開されました。
近年、女性アスリートを取り巻くスポーツ環境において、月経は競技パフォーマンスに影響を与える要因として注目されています。しかし、長年にわたりスポーツ界では、月経が競技の妨げになるものとして軽視される傾向がありました。その結果、適切なケアや指導が行われないまま、多くの女性アスリートが「女性アスリートの三主徴」[注1]などの健康リスクに直面しています。
これらの問題に対処するための正しい情報発信について、公的機関や競技団体、スポーツ医療関係者の方々がこれまで啓発活動を続けてはいるものの、ジュニア・ユースの年代を指導するスポーツ現場まで十分に普及しているとは言えず、今後も根気強く継続していく必要があります。
このような課題を背景に、当社では「月経と女性アスリートの外傷・障害(ケガ)の関係性」に着目した本研究を開始することにいたしました。月経と外傷・障害(ケガ)の関係性を明らかにすることで、女性アスリートの皆さんがより当事者性を持って、競技生活に直結する外傷・障害(ケガ)をしないための適切なケアを知り、そしてケアを受けられる女性アスリートを増やすことを研究の趣旨といたしました。
これまで、月経に関する研究は、その個別性の高さや機微な情報を含むため、大規模かつ長期的な調査が進みにくい領域でした。そこで、ユーフォリアが開発・提供するONE TAP SPORTSの女性アスリートユーザーを対象に研究参加者を募り、本研究へ多大なるご協力をいただくことができ、今回の貴重な研究成果を得ることができました。
[注1] 女性アスリートの三主徴とは、「Low Energy Availability(利用可能エネルギー不足)」により「無月経」となり、無月経により女性ホルモン分泌が低下し骨密度を高められないため「骨粗鬆症」を引き起こすという互いに関連し合う三つの健康障害のこと
《本研究結果サマリー》
(1)正常な月経周期 [注2]を有する場合においては、月経周期のフェーズ [注3]のうち「排卵期」が最も外傷・障害(ケガ)のリスクが高かった

(2)外傷・障害(ケガ)の種類のうち特に、関節捻挫/靭帯断裂のリスクは排卵期において、卵胞期・黄体期より2.7倍高かった

(3) 研究の追跡期間中、約4分の3もの研究参加者が月経周期異常[注4]を経験したが、月経周期異常と正常月経周期の外傷・障害発生リスク比較では、希発月経・無月経 [注5]が正常月経周期より外傷・障害発生リスクが低かった。(統計学的に有意な差ではないものの、頻発月経では正常月経周期より外傷・障害発生リスクが高かった)

[注2] 正常な月経周期:本研究では24日以上38日以下の月経周期を指す
[注3] 月経周期のフェーズとは、本研究では月経周期を卵胞期(月経開始~LHサージ前日)、排卵期(LHサージ+2日間)、黄体期(排卵期以降~次の月経開始前日)に分類する。LHサージとは、LHホルモン(黄体化ホルモン)が急速に分泌されるタイミングのこと。本研究では、実際にホルモン測定をしたのではなく、計算式を用いてLHサージのタイミングを推定している
[注4] 月経周期異常:頻発月経、希発月経、無月経を指す
[注5] 希発月経・無月経:希発月経とは月経が39日以上ない状態であり、無月経とは月経が3カ月以上ない状態
《本研究概要》
- 研究参加者:大学生年代以上の球技系の女性アスリート 316名
(サッカー、バレーボール、ソフトボール、ハンドボール、フィールドホッケー、バスケットボール)
※本研究への参加および研究結果の共有は研究参加者ご本人の意思に基づき適切に実施いたしました。
- 研究参加者年齢:中央値 21歳 (四分位数範囲:23-19歳)
- 追跡期間:中央値 337日間(2022年10月~2024年1月のうち1年間、最小値56日間、365日追跡できた人数152名)
- 検証方法:
- - 正常な月経周期の場合の外傷・障害発生率と月経周期が異常な場合 (希発月経・無月経)の場合の外傷・障害発生率を算出し比較する
- - 正常な月経周期を抽出し、卵胞期、排卵期、黄体期ごとの外傷・障害発生率を算出し比較する
- 集計方法:研究参加チーム・選手の同意のもと、ONE TAP SPORTSに入力された月経情報、外傷・障害情報、練習参加情報を集計
- 研究責任者:山中 美和子(株式会社ユーフォリア R&Dセンター リサーチャー )
- 研究分担者:(※)はユーフォリアスポーツ科学研究所(EIS)所属研究者
- - 須永美歌子(※)(日本体育大学児童スポーツ教育学部/教授)
- - 馬見塚尚孝(※)(医療法人野球医学 ベースボール&スポーツクリニック理事長)
- - 橋場智子(株式会社ユーフォリア)
- - 高橋良輔(株式会社ユーフォリア)
- - 飯澤拓樹(株式会社ユーフォリア)
《本研究 まとめ》
・正常な月経周期であれば、排卵期 > 卵胞期 > 黄体期の順で外傷・障害(ケガ)のリスクが高い
・排卵期では、特に関節や靭帯の外傷・障害(ケガ)を受傷するリスクが高まる
・追跡期間中、研究に参加した女性アスリートのうち、約4分の3が月経周期異常を経験した
・希発月経や無月経を経験しているときに新たな外傷・障害が発生するリスクは正常な月経周期より低かったが、希発月経や無月経の主な原因である利用可能エネルギー不足はさまざまな健康障害と関連があるため注意する必要がある
■今後の展開
本研究により、正常な月経周期であれば排卵期に外傷・障害(ケガ)を受傷するリスクが高まることが判明しました。この研究結果を女性アスリートの皆さまが生かし競技生活を安全に継続していただくためには、受傷するリスクが高い排卵期へ意識を高めていただく必要があります。そのためには、月経周期の記録を付けるだけでなく基礎体温測定も重要となります。また、排卵期に特に関節や靱帯の外傷・障害(ケガ)のリスクが高まるため、対策として関節を安定化させるテーピングやウォーミングアップの重要性へ理解を深めていただく必要があります。ユーフォリアは、この研究結果および予防・対策方法を広くアスリートおよび指導者の皆さまへ届け、行動変容をITでサポートするため、ONE TAP SPORTSの月経管理機能のアップデート、ならびに情報発信などの啓発活動に努めてまいります。
また、本研究結果から派生した次なる研究課題「なぜ排卵期にケガのリスクが高まるのか」についても調査を実施いたしました。こちらも検証結果がまとまり次第、ご報告をいたします。
■研究責任者・研究分担者コメント
山中美和子(株式会社ユーフォリア R&Dセンター リサーチャー) :
本研究は、最長1年間という長期間にわたり女性アスリートの皆さまやチームのメディカルスタッフの皆さまにご協力をいただき、完遂することができました。本研究のような大規模な研究を実施できたのは、ひとえに研究に協力してくださった皆さまの「女性アスリートの未来」を想う志のおかげでした。研究から得られた知見をより多くの女性アスリートの皆さまに活かしていただけるよう、普及活動にも努めてまいります。
須永美歌子先生(日本体育大学 児童スポーツ教育学部/教授、ユーフォリアスポーツ科学研究所(EIS)所属研究者:
本研究は、女性アスリートの外傷・障害リスクに対する月経周期の影響を前向きコホート研究として検討した点で、非常に意義深いものです。長期間にわたる追跡調査を行い、多数のアスリートを対象にデータを収集しているため、得られた知見はスポーツ現場への応用が可能です。例えば、コーチやトレーナーが月経周期に応じたトレーニングや傷害予防プログラムを開発することなどに役立つと考えられます。本研究の結果をふまえ、今後さらに月経周期を考慮したコンディショニングに関する研究が推進されることを期待しています。
馬見塚尚孝先生(医療法人野球医学 ベースボール&スポーツクリニック理事長、ユーフォリアスポーツ科学研究所(EIS)所属研究者:
本研究の最も注目したい結果は、「女性アスリートの関節捻挫は排卵期に増える」点です。医師としては、女性の性ホルモンが時期によって大きく変化することは常識ですが、関節捻挫のようなケガが性ホルモンの影響を受けて排卵期に増えるという事実に大変驚きました。この研究成果をもとに、コーチングや医学が大きく進歩する可能性を感じました。
■掲載論文
タイトル:Incidence of Sports Injuries Across Menstrual Phases in Eumenorrheic and Abnormal Cycles in Japanese Female Athletes: A Prospective Cohort Study(「月経周期とスポーツ外傷・障害の関連の検証」)
著者:山中美和子1,2、橋場智子2、高橋良輔2、須永美歌子3、飯澤拓樹1,2、馬見塚尚孝4
所属:1 ユーフォリアスポーツ科学研究所
2 株式会社ユーフォリア R&Dセンター
3 日本体育大学 児童スポーツ教育学部児童スポーツ教育学科/教授
4 医療法人野球医学 ベースボール&スポーツクリニック理事長
掲載誌:Medicine & Science in Sports & Exercise
公開日:2025年2月17日
DOI:https://doi.org/10.1249/MSS.0000000000003679
■ユーフォリアスポーツ科学研究所(EIS:Euphoria Institute of Sports Science)について
アスリートやトップスポーツを対象とした研究により得られた成果を広く一般の人々の健康や能力開発に生かすべきという考えのもと、2021年9月ユーフォリアスポーツ科学研究所は設立されました。外部からご参画いただいているリエゾン研究員の皆さまとともに、ユーフォリアが事業を通じて獲得し蓄積してきたアセットも活用し、社会課題を解決するための社会システムへの実装を目指し研究活動を推進しています。
URL:https://eu-phoria.jp/eis
■株式会社ユーフォリア について
ユーフォリアは「人とスポーツの出合いを幸福にする」をミッションに、スポーツの課題をテクノロジーで解決するスポーツテック企業です。スポーツ選手のコンディション管理、ケガ予防のためのSaaS型データマネジメントシステム「ONE TAP SPORTS(ワンタップスポーツ)」( https://one-tap.jp )、スクール運営のDXプラットフォーム「Sgrum(スグラム)」アプリ( https://sgrum.com )、部活動やサークル活動に取り組む学生向け無料の練習記録アプリ「SportsMate(スポーツメイト)」( https://sportsmate.jp )を開発・提供しています。さらに、これまでスポーツ界で培ってきたノウハウを生かし、一般企業のビジネス課題の解決を行う法人向け事業も推進中です。
本社 :東京都千代田区麹町4-8-1 麹町クリスタルシティ東館10階
設立 :2008年8月18日
代表者 :代表取締役/共同創業者 橋口 寛・宮田 誠
事業内容:スポーツ領域におけるシステム開発・保守・コンサルティング、スポーツデータ活用による商品開発支援事業、健康経営支援事業
URL :https://eu-phoria.jp/
【本件に関する報道関係者お問合わせ先】
株式会社ユーフォリア 広報担当 E-mail:pr@eu-phoria.jp
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